カイ二乗検定で「偏り」を確かめる:Randomness Labの読み方
43個の数字の出現回数全体が、ランダムな抽せんとして妥当かどうかを調べるのがカイ二乗検定です。統計量の求め方、自由度42での目安、p値の意味、そして検定が「偏りがある」と言えないときに何を意味するかを説明します。
出現回数の読み方では、個々の数字の Z-score を見ました。では、「43 個の数字全体として、出現回数の散らばりはランダムとして妥当か」はどう確かめればよいでしょうか。そのための道具がカイ二乗検定で、LotoScope のランダム性の検証で使っています。
統計量の求め方
各数字について「(実測回数 − 期待値)² ÷ 期待値」を計算し、43 個分を足し合わせます。これがカイ二乗統計量です。
χ² = Σ (実測 − 期待値)² ÷ 期待値
実測が期待値に近ければ統計量は小さく、ずれが大きければ大きくなります。すべての数字が期待値ぴったりなら 0 です。
自由度 42 での目安
抽せんが完全にランダムなら、この統計量は「自由度 42 のカイ二乗分布」に従います(43 個の数字の出現回数の合計は決まっているので、自由に動けるのは 42 個分)。
自由度 42 のカイ二乗分布の平均は 42、標準偏差は約 9.2 です。つまり、ランダムな抽せんでも統計量は 42 前後になるのが普通で、30 や 55 も珍しくありません。「偏りがある」と判断する一般的な目安は、統計量が 58.1 を超えたとき(上側 5%)です。
p 値の意味
p 値は、「抽せんが完全にランダムだと仮定したとき、今回以上に大きな統計量が出る確率」です。p 値が 0.30 なら、ランダムでも 30% の確率でこのくらいのずれは出る、という意味です。
p 値が小さい(慣例では 0.05 未満)とき、「ランダムとは考えにくい」と判断します。ただし注意点が 2 つあります。
- p 値が 0.05 未満になることは、完全にランダムでも 20 回に 1 回は起きる。期間を何通りも切り替えて見れば、どこかで 0.05 を下回るのは普通
- p 値が大きいことは「ランダムであることの証明」ではなく、「ランダムでないという証拠が見つからなかった」ということ
「偏りが見つからない」ときに何を意味するか
ロト6の全期間でカイ二乗検定を行うと、統計量は自由度 42 の分布の普通の範囲に収まります。これは、個々の数字の出現回数に「見た目の偏り」があっても、全体としてはランダムな散らばりの範囲内だということです。
これは、LotoScope が「予想ではなく観測」を掲げる根拠でもあります。もしデータが明確にランダムでないなら、そこから何かを言える余地があるかもしれません。しかし、データはランダムとして矛盾しないことを示しています。
出現回数以外にも使える
カイ二乗検定は、奇偶や LOW/HIGH、合計値のような構成パターンの分布にも使えます。実測の度数分布と理論分布を比べるという構造は同じです。Randomness Lab では、数字頻度のカイ二乗統計量に加えて、Z-score の分布、奇偶構成、合計値、連番についても実測と理論分布を並べて表示しています。
まとめ
- カイ二乗検定は、出現回数全体の散らばりがランダムとして妥当かを調べる
- 自由度 42 なら統計量は 42 前後が普通、58.1 を超えると「偏りの疑い」の目安
- 「偏りが見つからない」は「ランダムでないという証拠がない」という意味