大数の法則:抽せんを重ねると何が「ならされる」のか
抽せん回数が増えると各数字の出現率は6/43に近づきますが、出現回数の差は縮まるどころか広がります。大数の法則が言っていること、言っていないことを、期待値と標準偏差の増え方で説明します。
「長い目で見ればどの数字も同じ回数出るはず」という説明は、半分正しく、半分間違っています。大数の法則が何を保証し、何を保証しないのかを整理します。
出現率は 6 / 43 に近づく
ロト6のある数字が N 回の抽せんで出る回数を X とすると、出現率 X / N は N が大きくなるほど 6 / 43 ≒ 13.95% に近づきます。これが大数の法則です。
実際のデータでも、抽せん回数が 100 回の時点では出現率が 8% の数字や 20% の数字がありますが、2,000 回を超えると、すべての数字が 12〜16% 程度の範囲に収まります。出現回数ページの出現率の列で確認できます。
出現回数の差は広がる
一方、出現回数そのものの差は縮まりません。むしろ広がります。
出現回数の標準偏差は √(N × p × (1 − p)) で、N に比例してではなく、N の平方根に比例して大きくなります。
| 抽せん回数 N | 期待値 | 標準偏差 | 相対的なばらつき |
|---|---|---|---|
| 100 | 14.0 | 3.5 | 24.8% |
| 500 | 69.8 | 7.7 | 11.1% |
| 2,000 | 279.1 | 15.5 | 5.6% |
期待値は N に比例して増え、標準偏差は √N に比例して増えるので、「相対的なばらつき」(標準偏差 ÷ 期待値)は小さくなります。これが出現率が収束する理由です。しかし標準偏差そのものは増え続けるので、「最も多く出た数字と最も少なく出た数字の差」は回数とともに広がっていきます。
「ならされる」のではなく「薄まる」
ここに、ギャンブラーの誤謬が生まれる余地があります。「長い目で見れば均等になる」を「出遅れた数字が追いつくように調整される」と解釈してしまうのです。
実際に起きるのは調整ではなく希釈です。ある数字が最初の 100 回で期待値より 10 回少なかったとしても、その後の 1,900 回で「10 回多く出る」力は働きません。その後の 1,900 回は他の数字と同じ確率で出るだけで、最初の 10 回の遅れは、2,000 回全体の中で相対的に小さくなっていくだけです。
データで見る
数字別ページでは、各数字の出現回数を年別に見られます。年ごとの出現回数は期待値(年 100 回超の抽せんなら約 14〜15 回)のまわりでばらつき、少ない年の翌年に多くなるといった規則性はありません。年ごとの実測と期待値の差を順に足し合わせていくと、ゼロに戻る方向に動くのではなく、ふらふらと歩き回るように見えるはずです。これが「調整されない」ことの数字の上での表れです。
まとめ
- 大数の法則は「出現率が 6 / 43 に近づく」ことを保証する
- 出現回数の差は縮まらず、標準偏差は √N に比例して広がる
- 過去の偏りは「調整」されるのではなく、回数が増える中で「薄まる」